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会社員を辞めて個人事業主として開業した

2021-10-01

2021年6月末を以って株式会社ギフティを退職した。3ヶ月ほど休み期間を経て、今日から個人事業主として働いていく。

ギフティでの4年9ヶ月の振り返り

ギフティに入社したのはちょうど5年前の今日で、当時はまだ20名程度のスタートアップで赤字の決算公告を見てドキドキしながら入社したのを覚えている。新卒でリクルートに入って1年半のタイミングで転職した。中に知り合いがいて、ギフトを贈ってくれたのをきっかけにサービスを知り、当該サービスの分析をブログに書いたら社長のエゴサにひっかかり、社内のパーティに呼んでもらい、気づいた時にはアツい握手を交わしていた。このサービスをもっと世に広めたいという思いで入社した。

そこからソフトウェアエンジニアとして最初の3年間はB2B2Cのサービスの新規事業の立ち上げをやっていて、複数のサービスの立ち上げに関わることができた。辞める直前までの残りの1年半はC向けのサービスのリニューアルを担当していて、アプリ開発をメインで携わっていた。在籍していた4年9ヶ月の間に会社は黒字化し、マザーズに上場を果たし、今や一部上場企業となった。20人規模のマンションの一室のようなオフィスから160人規模のオフィスビルのワンフロアぶち抜き広々オフィスまでを経験できた。スタートアップが上場するタイミングを経験できたのは刺激的で良かった。総じて楽しく過ごすことができたので、本当に人と環境に恵まれたと思っている。

技術面

良くも悪くも広く浅く色々な事を経験できた。それまではフロントエンドしか業務で経験してなかったところ、インフラ、バックエンド、フロントエンド、アプリと一通り経験できた。B向けC向けの両方のサービスを経験できたのも良かった。当時は人も少なく教えてもらうのではなく、自走することを求められていたので、ソフトスキルとして経験したことがないことをなんとかする力は付いたと思う。一方で各技術に関する厚みは薄いと思うが、個人的には大人数で自分の担当範囲を区切られて働くより染み出せる範囲が広い働き方の方が好みなので、それはそれで良かったと思う。技術面は本質をもっと深めていきたいところだ。

バックエンドは主にRailsを触っていた。いくつかのサービスを経ることで、学生の頃に少し触れていた程度から業務でDB設計からサービスをリリースして運用するところまで曲がりなりにもできるようになった。Railsで完結するものからAPIとして振る舞うものまで色々なサービスに触れ、失敗もたくさんしたが、なんとかやっていた。GraphQLに触れられたのも良かった。業務要件的にロック処理が必須だったので、不整合が起きないようにロック処理を施しつつ、瞬間的な大量トランザクションを捌かなければいけない、みたいな部分で悩まされたが、それも良い経験となった。あとはGemやRubyやRailのバージョンアップデートをチームとして定常的に行えるように仕組みづくりなどを行った。

フロントエンドは主にReactを触っていた。状態管理は主にReduxを扱っていた。当時はNextなどのフレームワークもなかったので、HMRな開発環境を整えつつ、SSRを実現するためにwebpack.configをいじるなどもしていた。Reactを全く触ったことがなかった状態から形にできるようにはなったが、ここ2,3年ぐらいはフロントエンドをあまり触れられていない。

インフラは主にAWSを触っていた。コンソール上でポチポチやりながらEC2一台RDS一台でインターネットを通してサービスを見れました、というところから冗長化やスケーリングを学び、CFnやTerraformでコード化するということを覚えた。あまり経験できないところでいうと瞬間的な大量トランザクションをインフラコストを管理しながら捌くという経験ができた。分速数十万リクエストレベルだが、ゲームとか広告とかでない限りなかなか一般的なサービスだと経験できないとは思う。こちらも試行錯誤しながらなんとか落とさないでいられる構成を作れるようになり、負荷テストを事前に組んで対策を取れるようになった。あとは、Ansibleでインフラ構築していたところからDockerに移行したりした。B2B2Cだと先方のビジネスに影響が出てしまうので、いかに不停止で運用するか、死活監視の仕組みを構築して予防や万が一の時にいかに早く対応できる構成を作るか、といったことにも取り組んだ。

アプリはFlutterで開発し、アプリリニューアルのリリースと運用を経験した。それまでネイティブアプリを触ったことがなかったので、新しく知ることは多かった。こちらはまだまだ経験が浅いし、自分が担当した部分以外のところは弱いので、自分でアプリをリリースするなどして補っていきたい。

ビジネス面

エンジニアの工数を考えながら動いたり、インフラコストを管理したり、ビジネスサイドと一緒に毎週事業の数字を見ながらプロダクトを育てていく、ということをやりながら、入社してから早い段階で事業として黒字化できて良かった。投資的なことがやりづらくなったり、長期的な目線が持ちづらくなるし、サービスの性質にもよるので、あまり固執しすぎると良くないのだが、前々職で、会社としては顧客接点などのメリットがあって意義は十分にあるが、プロダクトとしては無料で使えるし単体としては赤字、みたいな投資的なプロダクトに携わっていて、会社としてはそれで良いとは思いつつも、お金を払う価値のあるプロダクトを開発できているという自信も得られず、プロダクトでお金を稼ぐということをあまり経験できなかったので、転職時に意識しながら取り組んでいた。割とビジネスサイドとの距離が近いチームにいたので、エンジニアのチームビルドやスクラムをいかに円滑に回すかといったことだけでなく、ビジネスサイドと一緒に事業を作っていくということが経験できて良かった。また、異動もあって別チームでディレクターもデザイナーもマーケターもデータチームもCSも1チームにいるチームで働く機会があり、他職種と連携してプロダクトを開発していく経験もできて良かった。

ソフトスキル面でいうと、転職する際に自分の中で課題に思っていて、取り組んだこととして、「何事もポジティブに前向きに取り組む」ということがあって、これは意識的に頑張っていたのだが、退職時の寄せ書きに「ポジティブ」とか「チャレンジ」とか「行動力」とか「前向き」とか「頼れるお兄さん」とかそういった言葉を有り難くも書いてもらえたので、成長できた部分なのかなと思っている。あとは、幸いにも権限をだいぶ委譲してもらえていたのと、新規事業に責任を持って取り組んだり、障害対応などで問題解決力はだいぶ鍛えられたと思っている。

その他

小さいことだが、いつの間にか古株な方になっていたので、コロナ禍になるまでは新しく入ってきた人みんなとランチに行くということをやっていた。120人ぐらいまではほぼみんなとランチに行ったことがある状態を維持できていた。一緒に仕事をする際の敷居が低くなるし、新しく入る人が会社に馴染みやすくなったり、自分がハブになれると良いなと思ってやっていた。ランチに行った際に趣味を深堀りして会社のSlackの趣味チャンネルを紹介するなどをやっていた。辞める時にほとんど仕事で関わることがなかった人たちにも、ランチ行きましたよね、と覚えてもらっていたのが嬉しかった。

あとは、技術面接の面接官として採用関連に関われたのも経験として良かった。技術広報のために、大きめの会議のスポンサーをしたり、自社で勉強会を開催したり、勉強会で登壇してみたりと色々取り組むことができたことも機会として良かった。

その他、業務外ではBBQをしたり、社員旅行に行ったり、部活を楽しんだり、それ以外でもプライベートで遊ぶことも多く、たくさんの楽しい思い出となった。

なぜ辞めるのか

会社がスケールしていくのは喜ばしいことなのだが、会社員という働き方だと、どうしても自分事化しづらくなってきている面があった。これにはコロナの影響もあったかもしれない。だったらもっと小さい規模のスタートアップに行く手段もあると思ったのだが、ポジション次第なのかもしれないが、同じことを繰り返す恐れもあるし、以前から小さくても良いので自分の事業をやりたいという思いがあり、30歳とキリも良いし、独身で家庭もなく、SOも行使できていたので、金銭面にも幾分かの余裕があり、最大限にリスクを取れる状態だったので、このタイミングでリスクを取って会社員という働き方を辞めてみることにした。自分事化の最大化として自分で事業をやるという選択をした。兄が最近個人事業主になったり、リクルートの同期が自分のビジネスをやっているといった環境も大きかったかもしれない。あとは、会社員は保障が手厚くリスクが低い分、昇給や転職で給与を上げていったとしてもそれにも上限があるし、自分のサービスで稼ぐ方が天井がなく面白そうだと思っていた。事業自体は副業でもできるが、やはり時間的な制約と逃げ道を用意してしまうことになるので、思い切って辞めるという選択肢を取る決断をした。

あとは、「安いニッポン 「価格」が示す停滞」という書籍を読んで、日本で働いていること自体がリスクになってくる未来もあり得るのではと思い、外貨を稼げるようになるために海外の大学院を受けようかとも思ったが、現地に行くことは現状難しいし、外資系にいったにせよ、会社員という働き方には変わりないし、やっぱり飯の美味い日本で暮らしたいし、サービスの海外展開で外貨を稼ぐ手段が現状一番なのではという結論に至った。エンジニアとして働いてみるまでは興味のなかった分野を学びなおしてみたり、研究したいテーマがあったりするので、将来的に行ってみたさはある。

なにをやるのか

理想としては人を集めて法人として起業できると良いと思っていたのだが、タイミングだったり事業内容が合わなかったりもあり、一旦個人で進めることにした。税理士とも相談し、個人だったら法人は不要という結論にいたり、個人事業主として開業した。個人開発者としてサービスやアプリを開発し、その収益で生活できる状態を目指すのだが、収益化するまでに時間がかかりそうなのと、チーム開発から遠ざかってしまうリスクがあり、他の企業の良いチーム開発スタイルを吸収したいのもあるので、法人化してチームを作っていったりするまでは、一定の割合で受託的な仕事も受けていこうとも考えている。週1,2とかで働けるのであれば、それでも良いし、3ヶ月ガッと入って、あとは個人開発に充てる、みたいな働き方もあると思うので、せっかくフリーになるのでこの辺は柔軟にやっていきたい。ということで直近はポートフォリオの整理と個人開発を進めていこうと思う。

休みの3ヶ月何をやっていたか

6年働いてきたので3ヶ月ぐらい何もしない期間があっても良いのではと思い、休みを取った。コロナ禍で海外にも行ったりできなかったので、家でゲームをしたり、YouTubeを観たり、Netflixを観たり、漫画を読んだり、本を読んだり、テニスをしたり、ダーツをしたり、バイクの免許を取ったりしていた。気の向くままに生活をしていた。あと、会社員のうちに引っ越しなども済ませた。会社を辞めてから服を売りに行った際に、職業欄の無職に丸をつけた時に、「あ、今無職なんだなー」というのを実感した。観たいと思ってたアニメの一気観とかもしたが、ヴァイオレットエヴァーガーデンが一番良かった。あとは税制について調べたり、資産運用のことを調べたりしていた。ワクチンも2回打てたことだし、そろそろ働くか、ということで働き始めた。ちなみにいざ開業するぞってなってからは税務署が近かったのもあり、30分で開業申請自体は完了した。開業Freee便利。こういうサービスを作っていきたい。

さいごに

ギフティでお世話になった方々、本当にお世話になりました。楽しく過ごせたのは本当にみなさんのおかげだと思っています。ありがとうございました。

知り合いの中で一緒に何かをやろうという方がいればぜひ一緒に何か面白いことをやりましょう。共同創業とかできるのであれば、それはそれは大変だとは思いますが、面白いと思うので機会があればやりましょう。エンジニアが必要なのであれば、業務委託で関わることもできますし、知り合いのエンジニアを紹介することもできるので、サービスの壁打ちでも何でも気軽に連絡してもらえると嬉しいです。

やっていくぞ。

キクナントカ

キクナントカ

ソフトウェアエンジニアをしています。Flutter、Rails、GatsbyJSを主に触っています。趣味でボードゲームを制作したり、個人開発したりしています。詳しくはこちら